【緋彩の瞳】 緋彩の瞳~恋をするなら~

緋彩の瞳

みちる×レイ小説

緋彩の瞳~恋をするなら~

あぁ

この人のことを好きになるかもしれない


絡まった指から伝わる熱が心に届いて
それはなんだか“恋”だった










この寒いのにアイスが乗ったパフェを食べながら、そろそろヴァレンタインデーだというネタを提供してきた美奈。最近は女子同士でも“友チョコ”なんて呼んで交換し合っているみたいだと、あからさまに欲しいアピールをしてくるが、幼稚舎から女子に囲まれていたレイは、そもそもチョコを渡すついでに告白する世の中の女子たちの、その考えがよくわからないと言い返す。お菓子会社の策略にはまるつもりなんてない、と。もちろん、今まで、レイが同じ学校の女子たちから渡されたチョコが“友チョコ”だったなんて、思っていない。友達だと思える人からチョコをもらったのは、まこちゃんが初めてだ。うさぎと美奈が手作りチョコをねだり、まこちゃんは仲間の分を作ってくれた。あれこそ、本当に“友チョコ”だった。かといって、レイはホワイトデーに何かを返してない。

「レイちゃんは、好きでもない人から告白されて、ドキッとする?意識して好きになっちゃったりする?」
「……なんでよ。そんなことされてイチイチ好きになるわけないでしょ」

むしろ、嫌悪感


靴箱にぎゅうぎゅうに詰められた手紙とチョコ。直接渡しに来る下級生、他校の女子が校門を出たところで待っていたこともある。イベント事に便乗して伝えられた思いは、レイの身体に掠りもせず、どれだけ近くで想いを声にされたとしても、あるいは手紙に込められたとしても、相手の名前も知らなければ、会話をしたことすらない人にドキっとするなんて、もしそんなことがあれば、それは心臓に問題があることを疑った方がいい。


「じゃぁ、何で世の中の女子たちは、チョコを渡すついでに告白するの?」
「知らないわよ」
レイに聞いてどうなるのだろう。そう言うのは美奈の専門分野なのに。自称愛の女神という胡散臭い存在。
「話をしたこともない人に、想いを告げるいい機会だとか?」
「それってほとんどストーカーだと思うわよ。ファンが芸能人に何かするのとは、わけが違うんじゃない?」
見返りを求めないファンレターやプレゼントならいざ知らず、チョコもチョコにくっついてくる手紙や告白のセリフも、レイに何か見返りを望む想いばかりが重たくて。イベント事がある日に学校に行きたくもないし、土日が重なったところで、消えてなくなったりもしてくれない。法律で禁止にすればいいのに、って愚痴をこぼすくらいはしたい気分。
「ふーん。じゃぁさ、話をしたことがある人だったら、好きになったりするかも、っていうこと?」
「程度によるんじゃない?挨拶交わすくらいの人なのか、顔と名前もちゃんと覚えているくらいの知り合いなのか。あるいは友達なのか。……っていうか、私はありえないから、みちるさんに聞いたら?」
挨拶くらいなら、見知らぬ人とでも日ごろから当たり前のように交わしているし、それくらいの相手を“知り合い”の枠に入れようとも思わない。かといって、顔も名前もわかっている位の関係の人から告白されたことはない。


というか、好きになるようなことなんて、きっとない。


「え?……私?」
本当は最初から視界にみちるさんは入っていた。でも、会話に入ってくるような雰囲気でもなかった。のんびりと、聞き手に回って時間を持て余していると言ったところなのだろう。みちるさんはいつもそんな感じ。最近よく、美奈に呼び出される時は必ずみちるさんが付いてきている。この2人は同じ学校の先輩後輩になったけれど、この組み合わせって、何と言うか珍しいと言うか、似合わないと言うか。
「だってほら、ファンから色々もらうでしょうし」
レイよりもずっと、告白された回数が多そうな人は、こんなつまらない話を聞きながら、何を考えていたのだろう。
「このお嬢様はさ、ほら、誰かと違ってメンチ切ったり無視したりしないで、微笑んで何でも受け取るタイプだから。なんていうか、相手を誤解させるパターンなのよ」
美奈はみちるさんを指で指さして、失礼なことを言いきる。
「何なの、美奈子」
花やプレゼントをもらい慣れた人ならば、バレンタインなんてトラック1台分くらい届くんじゃないかって思いながら、でもそれこそ、ファンとヴァイオリニストという立場がはっきりしていて、みちるさんは想いに応える義務などない。たとえトラック1台分であろうとも、込められた想いはある意味、ヴァイオリニストのみちるさんには必要なものでもある。
「美奈、パターンとかじゃないから。好きになるかならないか、でしょ?」
飲み切ったダージリン。
空っぽのティカップにポットから残りを注ぎながら、レイは目線だけでみちるさんにその質問の答えを促した。

大事なことは、みちるさんが美奈の言うような相手の場合、その人を好きになるかどうか
なぜか、みちるさんがどう思うのかを知りたくなっている
理由はよくわからなかった



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Date:2016/02/03
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