【緋彩の瞳】 緋彩の瞳~恋をするなら~ ②

緋彩の瞳

みちる×レイ小説

緋彩の瞳~恋をするなら~ ②




「そうか。じゃぁ、みちるさんは好きでもない人から告白されて、ドキッとする?意識して好きになっちゃったりする?」

「…………いいえ」

みちるさんは眉を寄せて美奈を見つめた後、そんな質問をするなと言わんばかりにため息を漏らした。みちるさんはきっと、レイ以上に告白される回数も多いだろう。今は共学だし、お仕事もあるし、男の人と知り合う回数はレイよりもずっと多い。

別にそんなことを考えたところで、どうしようもない。

「みちるさん、過去にまったくそう言う経験はないの?」
「ないわ」
「知り合いから告白されたことはないの?」
「……あるには、あるけれど」
美奈は、レイに色々聞くよりもみちるさんに聞いた方が楽しいって思ったらしく、目が意地悪く光り輝き始めた。こうなったらこのメンドクサイ話から、逃れることはできないだろう。
「へぇ、あるんだ。でも、何のトキメキもなかったんだ。嬉しいとか、ドキとしたとか」
隣にいる獲物を逃さない。みちるさんの恋愛事情なんて、そんなに知りたいことなのだろうか。

たとえば、美奈がみちるさんを好き、とか。
だから最近、みちるさんをお茶に誘う、とか。
美奈がレイと一緒にお茶を飲みたいのではなく、2人きりは難しいからレイをダシにしている、とか。


………と言うのは、無理がある。



「嬉しいと言う気持ちはあるわよ。それなりに知っている人ならね」
ファンがいるヴァイオリニストって、やっぱりまず“嬉しい気持ち”になるらしい。レイは知り合いだろうと知らない人であろうと、告白されても嬉しい気持ちになったことなんてない。
「ふーん。でも、その人を好きになることはないんだ」
「………美奈子、あなた」
「ん、なぁに?」
みちるさんは美奈の袖を引っ張って、何か言いたそうな視線を送る。何か言いたくないことがあるのかも知れない。実は現在進行形の何かがある、とか。

……何か、ちょっと気になる。


「みちるさん、別に無理に美奈に合わせることないわよ?」
助け船のフリをして、だけどレイは続きがあるのなら聞いてみたいと言う願いもこめてみた。
「………いえ。その、別に。ただ、今まで好きって言われた人を、好きになることはなかったっていうことよ」
「ふーん。みちるさんくらいの人なら、そこそこいい人から告白されそうなのに」
大人の男性から言い寄られることも、よくある人だと勝手に思っていた。高校生に手を出す男なんて、レイはその時点で嫌悪感を抱くだろうが、みちるさんの周りってなんというか、上流階級が多いだろうし、みちるさんなら釣り合うはず。
「あのね、レイちゃん。レイちゃんがお断りする理由は、そもそも他人に興味がないって言うのだけでいいでしょうけれど、このお嬢様がいい男に告白されても、相手を好きにならない理由は、1つだけだと思……ふごっ!」
「美奈子!」
美奈の口を叩くように防いだのは、何か爆弾を投下するのを防ごうとしたからなのか。
その1つだけの理由を美奈は知っていて、レイに知られては困るものなのか。


みちるさんは、レイに何か隠したいことを持っている?


「どうかしたの、みちるさん?」
「いえっ、べ、別に……何でもないわ。その、ただ、私はたとえ知っている人に告白されたところで、……えっと、嬉しい以上の気持ちはないの」
みちるさんらしくない挙動不審で、左右に動かされる翡翠色した瞳が、レイを避けたそうにしている。
「好みの相手であっても、告白されたくらいで恋愛感情としての好きにはならないの?」
「……まぁ、その、そういうこと、ね」
「ふーん、そうなの」
それは、口止めしなければいけないほどの、たった1つの理由ではない気がする。
むしろ普通はみんな、そう考えるだろうし。
「………えっと、えぇ。まぁ」
よくわからないけれど、もしかしたら、みちるさんには誰か好きな人がいて、美奈はそれを知っているのかもしれない。うっかり美奈がそれを言ってしまわないように、口止めとか。

ありえる。

「ぷはっ!レイちゃん、そこで終わりなの?興味持ちなよ!」
口封じから逃れた美奈は、みちるさんの手が2度目の口封じをしてこないように腕を押さえつけ、まだこの話題を引っ張りたいみたい。恋愛事のくだらない会話をダラダラすることなんて、何の意義も感じない。
みちるさんが狼狽えて美奈の口を封じたそうにしているなんて、よほどの弱みを握られているに違いない。

「いや、興味って言われても」



ホントはちょっと、興味がある。




「ピンとこなかった?」
「はぁ?」
「つまり、みちるさんはね…」
「美奈子!黙りなさい!」



……
…………




本気の怒り声がクラウンに響いて、一瞬フロアが静まり返った。
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Date:2016/02/03
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