【緋彩の瞳】 緋彩の瞳~恋をするなら~ ③

緋彩の瞳

みちる×レイ小説

緋彩の瞳~恋をするなら~ ③


お陰様で、みちるさんには好きな人がいるから、誰に告白されてもお断りらしいということが、レイの中で決定事項となった。


「………よし、じゃぁ実験しよう」
「嫌よ、また何か余計な事をする気ね?」
「結構、みちるさんにとっていい実験だと思うわよ」
何が“じゃぁ”なのかわからないが、不意を突かれて、みちるさんからみぞおちにパンチを食らった美奈は、それでもあっという間に回復して、人差し指をピンと上げた。
こういう時の彼女は殺しても死なないってわかっている。
「美奈、あんまりいじめないの」
「いじめてないって。ねぇ、みちるさん?」
美奈の目は、レイだけが知らないことを知っていると物語っていて、何だか腹立たしい気持ちになる。

「ねぇ、美奈子。あなた、約束が違うわ」
「破ってないじゃない」

何をコソコソとしているのだろうか。何を隠そうとしているのだろうか。2人のやりとりをじっと眺めていても、何も思い当たるものはない。

仲間のレイが知らない2人だけの約束って何だろう

「……2人きりで楽しみたいのなら、私、帰っていい?」
レイが何かを知ってしまうことがそれほど嫌なら。
そうすれば、みちるさんは思い切り美奈の胸倉を掴んで振り回すこともできるだろうし、何よりも、レイさえいなければ困らないのだから。
「いやいや、レイちゃん。まぁ聞いてよ。これはレイちゃんのための実験なんだからさ」
「はぁ?私?」
「そう。知り合い程度の人に告白されて、相手を好きになったり、あるいはドキっとしたり、そういう現象が起こるかどうかの実験」
「………あぁ、さっきの話が続いていたのね」
みちるさんに話題を振って、それでうまくごまかして終わらせたつもりでいたのに。美奈はどうしてもこの話題で、“何か”をさせたいみたいだ。
「美奈子、一体何をするつもりなの?私、帰っていい?」
今度はみちるさんがレイと同じように、帰るアピールをした。レイのように付き合っていられないという感じではない、とりあえず、この場にいたくないようだ。
「ダメだってば。みちるさんはお手伝い」
「なぜ?」
「だから、レイちゃんがどうなるのか、実験するのにみちるさんが必要なんだって」
「だから、なぜ?」
「そうよ、なぜなのよ、美奈」

美奈が提案してきたのは、レイの知り合い、つまりみちるさんがレイに告白をした場合、気持ちの変化があるかどうか、実験してみようということだ。何となくそんなことをさせるのではないか、と想像していた通りだった。説明を聞き終わる前にみちるさんは、とんでもない鬼の形相で美奈を睨んでいたが、そこまで嫌がる理由がレイにはわからなかった。あえて言うのなら、誰か好きな人がいるのに、遊びでもレイに好きって言うなんて嫌、くらいだけど、そんなのカウントにも入らない。

……って思うけれど、それはレイだけが考えること。世の中の普通に恋する女の子たちは、もしかしたら嫌って思うことが当たり前なのかもしれない。

「美奈、私たちで遊んで楽しい?」
「楽しいに決まってるでしょ。美人同士が手を取り合って見つめ合うのを見られるってさ、楽しすぎるわ」
「みちるさんが、何やら落ち込んでいるけど?可愛そうじゃない?」
「平気平気、ねぇ?」
「でも、みちるさんは……」



好きな人がいるんでしょ?



声に出そうと思ったのに、喉に何かが詰まったように音にならなくて。



「もういいわ、美奈子。茶番はやめましょうよ。ね?」
「それは………つまり、腹を括った?」
「括ったわよ」
「ふーん。できれば私は立ち合いたかったんだけどな」


何、この2人のやりとり
まったくもって意味がわからない


「美奈、いったい何を考えているの?一体何をからかっているの?みちるさんをいじめて楽しい?」
困ったため息なのか、何かを諦めたため息なのか、レイだけが理解できていない2人だけにしか意味の分からない会話。
ハッキリ言っていい気分ではない。
3人でこうやってお茶をすることは、最近多いけれど、いつもと何かが違う。
今日だけいつもと違う理由って何なのだろう。

「だから、凄く楽しいってば。でもまぁ、そうね。実験結果はあとで教えて。私、ちょっと行くところあるの、忘れてた。帰る」
「……は?」
「だから、帰る。バイバイ」
「え?ちょっと……」
パフェの代金を払う気配もなく、美奈はコートと鞄を掴んで、本当に逃げるようにカウベルを鳴らして扉の外に出て行ってしまった。


「……えっと、何なのあれ」
「何かしらね。あとで説明するわ」
「みちるさんは、わかっているの?」
「まぁ、そうね」
「説明してくれる?」
「………とりあえず私たちもお店を出ましょうか」
今すぐに理由を聞かせてくれないのは、クラウンでは簡単に言えないようなものなのかどうなのか。もし本当に、みちるさんに誰か好きな人がいるのなら、周りに人がいる状況で言いたくないのかもしれない。
「じゃぁ、うちに来て」
「え?レイの?」
「だって。みちるさんのおうちには、せつなさんたちがいるし、今更、別のお店でって言う時間でもないわ」
時計は5時を回ったところ。あと少ししたら家に帰る時間で、外はうっすらと暗くなってきている。美奈の分は肩代わりして、必ず請求するからと、みちるさんが払うのをやめさせた。あの馬鹿にお金を貸しても弱みを握られている様子だと、返ってきそうにないという本音は、今は言わない方がいい。

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Date:2016/02/04
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