【緋彩の瞳】 きらきら ①

緋彩の瞳

その他×海未小説[ラブライブ!]

きらきら ①

 ことりと穂乃果に押し切られて、書かなければならなくなった歌詞。国語の教科書に、歌詞の作り方なんて書かれているわけでもなければ、当然、作詞について学んだことなどない。だが、断るということはもう無理だった。いつもながらに幼馴染のお願い事にきっぱりとNOと言い切れない自分が情けない。いや、いつも必ず1度は嫌だと言う。でも、そこから彼女たちが海未にYESと言わせるのだ。

「まったく、いったいどうしろと言うのですか……」

誰か、書き方のアドヴァイスをしてくれるような人はいないだろうか、と思って真っ先に想い浮かんだのが、真姫の顔だった。真姫が聴かせてくれたことのある歌は、彼女が作ったと言っていた。ということは、作詞をしたことがあるはずだ。
「……あの時に、作り方のコツを聞いていればよかったですね」
 初めて、ちゃんと歌を聴かせてもらったとき、すでに歌詞を書けと押し付けられた後だった。自分に課せられた使命を棚上げして、真姫の歌に聴き惚れている場合ではなかった。
「それにしても、作曲者はあてがあるというのは、一体誰のことなのでしょうか」
お金を払って、誰かに曲を作ってもらうと言うわけではないだろう。吹奏楽部の誰かにそういう人がいるとでもいうのだろうか。あるいは、まさか音楽の先生……。いや、そんなところまで行ってしまうなんて考えられない。
「まさか、真姫なんていうことは……」
穂乃果は真姫を知っている。歌を歌っているところを覗いたという。アイドル部に入部して欲しいと言って断られたと。海未は結局、そのあと穂乃果が真姫を説得したとか、断られたなどの顛末を聞かされていないから、きっとなかったことにしたのだと思っていた。それに、ライブまで1か月で、ことりも衣装のデザインは3人分しか考えていない。だから、真姫の入部という穂乃果の考えは、いつものように言ってみただけ、なのだろう。
「……取りあえず、図書室にでも」
アイディアを求めると言う目的より、静かな場所で活字に囲まれていれば、何か目に付く単語からインスピレーションの場になればという思いだ。
弓道部に行っているどころではない。




 火曜日。ピアノはコーラス部が使用しており、今日は音楽室に入ることはできなかった。真っ直ぐ家に帰っても構わないが、何となくそういう気分にはなれない。昼休みに読んでいた貸出禁止の雑誌の続きでも読もうと思って、図書室へと向かう。古い学校だからか、何となく独特の古い紙の匂いに包まれて、陽に焼けないように、厚めのカーテンが引かれている図書室。勉強をするには、やや重苦しい空気だからか、人もほとんどいない。
「………え」
静かな図書室、広いテーブルに椅子が並べられている。その端っこに、分厚い辞書をブロックのように積み上げている人を見つけた。4月が始まったばかりなのだから試験なんてあと1か月以上先だし、どの学年であっても、授業が始まってまだ間もないのに、あれほどの資料を必要なレポートなんて、この学校はそんな厳しい授業をするとでもいうのだろうか。


「……うぅ~~…うっ」


何、うめき声?


女子校にふさわしくない低音ボイス。もしかして教師?
いや、教師が辞書を並べて放課後にうめき声を上げるなんて。

雑誌よりも興味がそそられてしまうのはどうしてなのだろう。真姫は絨毯敷きの足音のしない床を、それでもひっそりと歩いて、その声の主の背後に回った。

髪が長くて、制服姿。
「うぅ~……何も、浮かびません………」
独り言なのに、丁寧な言葉遣い。
「やはり、無理だと言ってことりに……ですが、ことりは衣装作りでそれどころじゃないと……」


……
………


「何をしているんですか、園田先輩」


聞いたことのある声は、弓道部のエース、園田海未先輩だった。




関連記事

*    *    *

Information

Date:2016/02/14
Trackback:0
Comment:0

Comment

コメントの投稿








 ブログ管理者以外には秘密にする

Trackback

TrackbackUrl:http://fireredfantasia.blog.fc2.com/tb.php/670-e0d3db34
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)