【緋彩の瞳】 触れた指の間を流れる想いは END

緋彩の瞳

ダージリン×アッサム〔ガルパン〕

触れた指の間を流れる想いは END

ペコとルクリリは改めて頭を下げ、ローズヒップも深く一礼をして隊長室を後にした。ドドドドと凄い勢いで廊下を逃げるように去って行く音が、小さくなって消えるのを無言で待つ。ペコもダージリンの傍にいるときは落ち着いていて、おとなしく淑女でいられるのに、あの2人といるときはまた、違った一面を見せてくれるから、なかなか面白い。


「………暴走シスターズの方がお似合いね、あの3人」
「そうですわね」
ふぅ、とため息を吐いたアッサムは、ローズヒップが握っていた髪を手櫛で梳いていた。ダージリンが触れたことのない髪も肩も、ローズヒップは触り放題、引っ張り放題だった。



……
………
……嫌な感情だわ、と思う。

“らしく”もない。


「ねぇ、アッサム」
「はい」
「私たちも何かコンビ名を付けたらよかったかしら?」
「今更ですか?」
この2年半の近くて遠い距離感は、今となっては愛しく思える。でも、あんな風に互いに言いたいことを感情むき出しにして言い合える関係だったら、どうだっただろう。

考えるだけ無駄だ。

彼女たちは未来を背負っているが、自分たちみたいにOG会の重圧まで背負って欲しくない。あの子たちは自由に暴走していて欲しい。1年の頃から押し付けられた重圧の中にいたダージリンとは違う。
「………そうね、今更ね」
コンビという名の通り、手を取り合って共に歩むというよりも、彼女は傍にいてくれて、ダージリンを支え続けてくれていた。ダージリンに支えは必要だったが、ダージリンが彼女を支えてあげたことはあっただろうか。

今更、なのだ。


「お茶にしますか?」
アッサムは持っていたタブレットをダージリンの机の上に静かに置いた。

その手はとても、近くにある。
そっと、その左手の甲に自分の手を重ねた。
ひんやりと、冷たい。

「そうね、今日は私が淹れて差し上げるわ。手元が狂ってあなたにかけてしまったらごめんなさいね」
「1日に、2度もごめんですわ」

小指でその薬指をそっと救い上げてみる。
絡み取るように1本1本、薬指、中指をひんやりとしている彼女の指に絡めて行く。

何かを手渡しするときなどに触れる程度だったその手。
ローズヒップのおでこをパチンと叩いたその手。

「1年生が羨ましいわ」
「今更、コンビを組むつもりはございませんわ」
「そうね。では、パートナーはどうかしら?」

言ってみて、何かちょっと、うっかりとんでもない言葉を選んだのではないかと気が付いたが遅い。
何事もなかったかのように、澄ました表情を固めるだけで精いっぱいになった。


「ダージリンが望むのなら」
偽りのない信愛を込めて呼ばれた。
誰もいない時を選んで、副隊長ではない口調で呼ばれると、この感情に名前を付けてしまいたくなる。
「………私、あなたにいいように転がされているのね」
「決して、私のいいようにではないわ」

ひんやりした指先に力が込められた。握りしめてくるその優しい圧力。
血液を循環させるスピードが押し上げられるようだ。

「アッサム。ここは落ち着かないわ。私の部屋でお茶をしましょう」
「是非に」
「私の部屋には、ダージリンの茶葉しかないのだけれど」
「構いませんわ。言ったでしょう?私はダージリンが好きだと」
「言わせたかっただけよ」
「でしょうね」
絡めた指を解かずに立ち上がった。扉を出るまで吸い付くようにきつく握りしめていたお互いの指は、扉を開くと同時に微かな風圧で引き離されてゆく。

それでも互いの袖がすり合うように、歩幅を揃えた。いつもアッサムはダージリンの後ろを付いてきていたが、黒森峰との戦いが終わった夜から、彼女は人の目が少ない時は隣を歩いてくれるようになった。


近くて遠い。


少しだけ、手を伸ばせば触れられるほどに。



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Date:2016/03/25
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