【緋彩の瞳】 不思議な未来へ ③

緋彩の瞳

ダージリン×アッサム〔ガルパン〕

不思議な未来へ ③

「ルクリリだよ~~」
「ローズヒップですわ~~」
「オレンジペコです。あ、ペコでいいです」


 放課後になり、部屋に乗り込んできた3人は、夕食と新しく買ってきたと言う着替えとさらに揉めたらしい下着を持ってきて、そのまま帰る気配がない。機嫌を取るつもりなのか、ぬいぐるみまで買って来て、遊ぶ気満々だ。
「あっさむ、お手伝いの人が沢山」
「えぇ、お手伝いさんだから、どうぞ何でも命令していいわよ」
 馬にさせられて喜んでいるローズヒップも、肩車して興奮しているルクリリも、必死に写真を撮っているペコも、もう、この状況を楽しめるだけ楽しもうとしているようだ。なんていうか、それくらいの気持ちでいられたら、楽しいのだろう。と言っても、アッサムも今日一日、それなりに楽しかった。終わりさえ見えたらもっと楽しいのに。1日2日くらいなら、ダージリンが小さくなっても可愛らしいって思えるが、これがいつまでも続くと、流石にキツイ。心の寄る辺が傍にいないまま、日々を過ごすなんて、きっと耐えられなくなってしまうだろう。
「アッサム様、私、何だか世界征服をした気分です!」
「……ダージリンに肩車してもらってからいいなさい。あなたが穂菜美を肩車しているのよ。子供の機嫌を伺っている時点で、負けているってわからないの?」
 ルクリリが何か相当勘違いをして、穂菜美の機嫌を取っているようだけど、恩を着せているつもりなのだろうか。完璧に遊ばれていると分かっていないようだ。
「だ、騙された?!」
「いや、あなたの理解力に問題がありすぎるのよ」
 散々、アッサムの部屋で遊び倒して食事を取った後、穂菜美が眠たそうに目をこすり始めたので、寝かしつけることにした。こんな風に2人して授業をさぼることができるのも、そんなに何日も続けられない。
 お風呂に入れて寝かしつけようとすると、3人揃って手を上げて、手を煩わせることはしませんなんて、アピールしてくる。明日、もしまだこの状況が続いたとき、どうするべきかを考えてくるように、何のアイディアもなければ、穂菜美を連れてヘリで横浜に向かうと告げて、部屋から追い出した。アッサムの部屋のお風呂で、穂菜美とお風呂に入る気満々でいたのか、ふて腐れた3人は、また朝に部屋に襲撃に来るに違いない。



「あっさむ、熱い~」
「あと60秒数えたら出ていいわ」
「ん~」
 温めにためたお湯に浸かり、肩まで浸からせていると、3分程で音を上げた穂菜美は、アッサムに抱き付いて、甘えるように顔を肩に埋めてきた。下に弟妹のいないアッサムは、小さい子なんてどう接すればいいのかわからないけれど、彼女はダージリンなのだ。
 ダージリンも甘えてくることはある。まだ、妹の生まれていない今の穂菜美は、きっとこれから甘えたい相手が妹に気を取られて、我慢を強いられるのだろう。そのあたりから、甘え下手が作られていくのかも知れないと思うと、目の前の穂菜美の素直に甘えて来てくれる姿が愛らしいし、消えてしまうことがもったいないと思ってしまう。
「ほら」
 今のダージリンにはこんな風にしてあげられないのだ。甘えてくる穂菜美を抱っこして、優しく頭を撫でた。
「あっさむ、ママが赤ちゃんを生んだら、あっさむはどこかに行くの?」
「そうね」
「あっさむ、一緒にお家に戻らないの?」
「そうよ」
「ん~~~いや」
穂菜美と別れるときは、それはダージリンに戻る時だ。穂菜美がこのままでいる以上、アッサムは傍を離れるわけにはいかない。だけど、このままでいられたら、ダージリンが傍にいないことも辛くなるだろう。
「でも、きっとすぐに会えるわよ」
「ほなみ、あっさむといる」
「ママと赤ちゃんは?」
「………ママ、赤ちゃんができたら、ほなみと遊んでくれないわ」
 頬に空気をためて、子供らしく拗ねる仕草。年の離れた兄しかいないから、アッサムにはそう言う経験がない。甘えられないと言う環境で育っては来なかったのだ。それは恵まれたことなのかもしれない。
「そう?でも、赤ちゃんと一緒に遊ぶのでしょう?」
「赤ちゃん、一緒に遊ぶまでたくさん時間かかるの。だから、それまであっさむと遊ぶ」
「わかったわ」
「あっさむと一緒にいるわ」
「………えぇ」
 はにかむ笑顔。こんな風に素直に笑う姿を、毎日見せてもらえたらいいのにって、心の中でため息をついた。そう言うことをしないで、澄ました横顔も好きだけど。誰よりも傍にいて、誰よりもダージリンの素顔を見ているつもりでいても、こんな子供の無邪気な笑みなんて、見せてもらえるはずもない。アッサムは穂菜美を抱きしめて、戻って欲しいようなほしくないような、でも取りあえず、この姿でいられる間だけはせめて、笑顔でいて欲しいと強く思った。


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Date:2016/07/18
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