【緋彩の瞳】 Because I love you 24

緋彩の瞳

ダージリン×アッサム〔ガルパン〕

Because I love you 24

『あらやだ、熱々』
『シー!』

 しがみついて、ダージリンの呼吸を感じていると、どこからか人の声がした。
「…………誰かいる?」
「そのようね」
 何だか、とても聞き慣れた口癖のような気もしないわけでもない。夕食を作らせておいて消えたと怒っておられた、オレンジペコ様の言葉を思い出した。バニラ様なら、まだ、見られたところで恥ずかしい、と言う感情だけで済むが、他学部の生徒だったりしたら、面倒な噂が広がってしまう。ダージリンは隊長になったばかり。アッサムは見知らぬ生徒に嫉妬されて、紅茶に毒を盛られてしまうかもしれない。ダージリンから離れると、携帯電話の光をきつくして、声のする方に向けた。


「え?……お姉さま」
「アールグレイ様なの?」


 目が合ったのはお姉さま。すぐ傍でふわふわした髪も見える。邪魔をしていたのは、どうやらこちら側だったのかもしれない。どこから聞かれていたのか、光がなくてどこまでクリアだったのか、考えただけでドンドン身体が熱くなってくる。

「大丈夫、キスしたところは暗くてあんまり見えてなかったわよ」
「………見ていらしたんですね」
「見ていたって言うか、聞こえていたわ」
 バニラ様のお声はとても弾んでいらして。ずっと息をひそめて盗み聞きされていたことも、まったく悪びれる様子はない。
「お2人の邪魔をして申し訳ありませんでしたわ」
 ダージリンは肩から落ちたブランケットを拾い上げ、静かに立ち上がった。
「本当よ。私たちだって好き好きって言い合って、イチャイチャする計画だったのに。おかげでずっと息をひそめていたわ」
「そうですか。ではどうぞ、ごゆっくり」
 ダージリンはなぜ、こういう時に余裕でいられるのだろう。とはいえ、この4人の中で落ち着いていられないのはアッサムだけのようだ。アッサムが普通じゃない、と言うことなのだろうか。
「ありがとう、ダージリン。ところで、ペコは怒っていた?」
「えぇ、とっても。二度と部屋に入れないと」
「あらやだ。じゃぁ、アールグレイのベッドで寝るしかないわね」
「私とアッサムと、川の字になって寝てもよろしいですわよ」
「何、その惨め。三途の川じゃない」
 一緒のベッドで寝たことなんて、まだないのに。ダージリンは何か誤解を植え付けるようなことを言って、バニラ様と何を競っているのだろうか。ただ、遊んでいるのだろうけれど。
「お姉さま、お邪魔してごめんなさい」
「………いえ」
 暗闇の2人はとても近くて。ちゃんと恋人のように見えてホッとする。お姉さまの恋を、アッサムが邪魔などしたくない。ずっと、大事にしていて欲しいと願う。
「行くわよ、アッサム」
「えぇ」
 腕を取られて、アッサムは置きっぱなしのティーセットの籠を掴むと、来た道をゆっくりと戻った。静かになったら、ちゃんと2人で楽しくデートの続きをしてくださるだろうか。
「まったく、3年生は必ず私たちの邪魔をしようとするわね」
「本当に」
「部屋で続きをしましょう」
「………えぇ」
 バニラ様には優雅に言葉を交わしながらも、2人きりになったらちょっとムッとしているあたり、ダージリンは可愛いところもある。続きって何って聞こうとしたけれど、どんな答えが返ってくるのかが怖くて、取りあえず黙って運転席に乗った。





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Date:2016/08/26
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