【緋彩の瞳】 すき。

緋彩の瞳

みちる&レイ小説[幼馴染]

すき。


苦しいから嫌なの
「好きだから苦しいのは当たり前じゃない。楽な恋愛なんてつまらないわよ」

好きだから、嫌われたくない
「好きだから避けるの?誰だって嫌われたくないけれど、その代わり始まることもなくてよ」

いきなり部屋に押しかけてきて、いつものように説教が始まる。いくら鍵もなく自由に出入りできるレイの部屋でも、最低限のマナーがあったっていいのに。大体、この人には好きな人が誰なのかなんて教えた記憶がないのに。でも、それを問い詰めても返ってくる答えなんてわかりきっているから、あえて黙っておく。
「みちる、そんなに世話好きだったかしら?」
「レイとはるかに関してはね。まだ、はるかはいいわ。あの人は言ったとおりに動いてくれるもの」
はるかさんは、みちるの何?ちょっとだけ今はいない人に同情する。同情するけれど、この人に自由行動を与えないでもらいたいわねと、責任問題も追及したくなる。
「とにかく、美奈子だって、きっとあなたの気持ちに気がついているわ」
「だ、誰も美奈だなんて言ってないじゃないっ!」
あわてて否定しようものなら、勝ち誇ったような笑み。
「じゃ、誰なの?おっしゃい」
腕を組んで姿勢を正すみちるの姿は、レイの全部を見透かしていてムッとする。
「レイは本当、自分が大切なのね」
「どういう意味よ」
呆れたように溜息を漏らす幼馴染は、でも、レイのことを大切に想っていてくれる。わかってはいるけれど。
「そのままよ。結局自分の心がどんな傷を受けるか予測ができないから、怖いのでしょう?でもそれは、愛して愛される喜びさえ寄せ付けないでいるのよ。でも、そういう喜びは欲しいのでしょう?我侭だわ。そんな都合のいいことなんて世の中にはないことくらい、十分わかっているはずよ」
そんなこと、レイだって頭でも心でもちゃんと理解している。でもまだ、痛いことを覚悟する勇気がちょっとだけ足りないだけだと思う。悪いことばかりを想定するのだって嫌いだけれど、こんな風になることだって初めてだし、相手はとても身近すぎる存在だから。

失いたくないだけ。
今までの友情を失うのも嫌だけど。
誰かを好きでいるという状態が終わってしまうことも嫌。
誰かを好きでいる自分でありたいなんて、あつかましいかもしれないけれど。
今まで、そういうことを経験してこなかったから、終わってしまうと平然としていられないような気がして怖い。
未来を占うことができても、自分の心の変化なんてわからない。恋をするなんて、想像すらしたことがなかったのに。

うつむいて考え込んでいると、ふわっと優しい温もりがレイの体を包み込んだ。
「馬鹿ね」
その声は諭すように、レイをちょっとだけシュンとさせて安心させる。背中を抱きしめて、頭をなでられると、もう、文句を言えない。幼馴染なのに、いつもみちるはレイの一歩先を歩いている。
「傷つくことを恐れていたら、そこでおしまいよ。レイの瞳はいつだって遠くを見つめているけれど、決して自分の心を見つめようとしない。それは悪い癖よ。美奈子はそのきっかけを与えてくれたのだから。万が一にも美奈子が駄目だって言ったとしても、終わりじゃないわ。むしろ、美奈子にはきっかけを与えてくれたことに感謝しなきゃいけないくらいよ。そうでしょ?」
「……考えておく」
反論さえ奪うみちるはずるいと想う。この人になら、好きだとか嫌いだとか、平気で言えるのに。
「じゃ、近いうちにいい報告を聞かせてもらうわ。そのときは二人で私のおうちに遊びにいらっしゃい」

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Date:2014/02/11
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