【緋彩の瞳】 みっちーの好きな人

緋彩の瞳

みちる×レイ小説

みっちーの好きな人


『あ、みっちー?』
誰がみっちーなの。携帯のディスプレイに書かれてある名前を見て、嫌な予感はしていたけれど。
やっぱりね、とみちるはレイのみに働く自分の第6感を恨めしく思った。
「…で?何?」
明るい声で、冗談から話題を切り出すときは…
『台風でね、交通事情を考えて午後の授業は中止。生徒は速やかに帰ることになったのよ』
「あら、そう」
なんとなく次に来る台詞もわかってくる。そして、それを断ることが出来ないと計算されているんだなって、そこまでわかってしまう。
『後20分くらいだから。じゃ正門でお迎え待っているわね。よろしく頼んだわよ』
なんて高飛車な。そもそも、迎えに来て欲しいなら、来てくれない?と可愛い声でねだるのが普通じゃない。
「レイ。誰が迎えに行くって?」
『みっちー』
「みっちー…誰それ?」
『海王みちるさま。英語で言いましょうか? Michiru Kaioh~!』
英語読みして聞かせてくれたレイは、なんだか機嫌がいいらしい。休校になるのがそんなに嬉しいのかしら。
「仕事しているって言ったらどうするの?」
『そんなもの、放り出して来ればいいでしょう?』
何様なのか、本当に。みちるはそのまま電話を切ってやろうと一瞬だけ思ったけれど。
一瞬だけにとどめてしまう自分が情けない。
「我侭ね、レイは」
『何言っているの?みちるだって、本当は心配なんでしょう?朝だって、危ないから学校休んだらって言っていたのはそっちじゃない』
「それはそうだけれど」
『そんな心配をしてくれているのなら、当然、雨風が強い中、傘を差して帰るなんて危険なことさせるわけないわよね?』
「…」
痛いところを。
『風でスカート捲れちゃったりするかもしれないわねー。その前に風で飛んできた何かの看板で大怪我とかするかも。あ、ダンプとかが横を通って飛沫で制服が…』
「わかりました。迎えに行けばいいんでしょう?だったら、素直にお願いって言いなさい」
レイにはみちるの第6感まで読まれてしまっている。
それが悔しい。
悔しいけれど…。
『お願いしなくても、本当はみちる、私を迎えに行こうって思っていたところじゃないの?』
まったく。
可愛くない、本当。
「お、思っていなくてよ!」
本当はレイにメールを入れようと思って、携帯を手にしたところだったけれど。
『じゃ、そういうことにしておくわ。みっちー』
プツリと一方的に切られる。
たまらなく好きだって気持ちを、レイはうまく利用している感じがする。
何をされても何を言われても、心の底から嫌いになんてなれないことをわかっていて。

でも、やっぱり好きな自分が嫌になるけれど。
レイのことを愛している自分のことは、情けないけれどちょっと好き。

みちるは車のエンジンをかけて、愛しの姫のために台風より速く走らせることにした。



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Date:2014/02/11
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