【緋彩の瞳】 これにて、任務終了 END

緋彩の瞳

ダージリン×アッサム〔ガルパン〕

これにて、任務終了 END

午後の訓練は、1年生がいないので比較的穏やかに、そしてスムーズに行われた。アッサム様が戻られているだろう時間でも、無線から聞こえてくるダージリン様の声の様子に変化はない。大真面目に取り組んだ訓練が終わったのが17時。
 30分後に行われる報告会。ミーティングルームには資料を整えて、アッサム様たちが待っておられるはずだ。草むしりを終えて泥だらけの1年生たちが大急ぎでシャワーを浴びている間、戦車に乗らなかったダージリン様が一足先にミーティングルームへと向かわれる背中を見送った。誰も見ていないと思っておられるのだろう、盛大に靴音を立てて走っている。


「シナモン、お疲れ様」
「お疲れ様です、アッサム様」




 報告会が終わると、アッサム様が肩を叩いてきた。その背中には、べったりくっついて離れないローズヒップ。髪に顔を埋めたまま、離れる気配もなさそうだ。


「“全員”、良い子にしてくれていたかしら?」
「えぇ、まぁ。今年は割と良い子でしたよ」


 全員というか、アッサム様のそれは明らかに1人だけを指していて、シナモンはチラリとすぐ傍にいる一番の問題児へと視線を流した。

「そう。あなたがいてくれて助かるわ、シナモン」
「面白いから、放っておいて、見物しておきたい気持ちもあるんですけれど」
「冗談じゃなくて、学生艦が動かなくなるわ」
「そうでしょうね、本当に」


 クスクス2人で笑い合っていると、それが気に食わないと顔に張り付けたダージリン様が、近づいてこられた。

「ローズヒップ、いつまでも背中にくっついていないで、夕食に行きなさい」
「アッサム様と行きますわ!」

 脚まで絡ませて身体にまとわりついたローズヒップを、シナモンはまぁまぁ、と言いながら引き剥がしてあげる。たぶん、ローズヒップだけが気に食わないわけじゃない。カッコつきでシナモンも邪魔と言いたいのだろう。その空気は目で見るより明らか。


「ローズヒップ。草むしりをちゃんとこなしたご褒美に、私が美味しいハンバーガーを奢ってあげるわ。アッサム様はお疲れなんだから、今日はもう、解放してあげなさい」
「マジですの?!ノエルのハンバーガーですの?!」

 この子は、アッサム様よりハンバーガーらしい。ぱっと身体から離れたら、今度はシナモンに向かって両手を広げてきた。お腹が空いていることを満たす方が大事なのだろう。


「1年生たちをお願いね、シナモン」
「承知しました、ダージリン様」
「本当、面倒かけて悪いわね、シナモン」
「慣れていますよ、アッサム様」


 ローズヒップに乱された髪を、ダージリン様が丁寧に指で梳いていらっしゃる。このまま、お2人はそっと姿を消して、どこかにお食事に出かけるのだろう。仲睦まじく、久しぶりに2人が見つめ合い微笑む姿を見ると、やっとホッとため息を吐くことができる。

 ホッとしてしまうのだ。
 いつの間にか、そうなってしまっている自分がおかしいのかも知れない。

「お疲れ様、シナモン」
「グリーン。そっちはどうだった?」
「普通よ。アッサム様はダージリン様のために、ほとんど寝ずに情報収集をされていたわ」
「………相変わらずよね、あの2人」
 靴音を揃えてミーティングルームを出ていかれると、にぎやかなだけの1年生たちが、バタバタと片づけを始める。アッサム様が戻って来られただけで、みんな本当に嬉しそうだ。
「えぇ、本当に。1年生のお守り、手伝いましょうか?」
「あなたもノエルのハンバーガーを食べたいのでしょう?」

 お互いを労いながら、それでもまだあと数時間は、疲れる後輩たちを相手にしなければならないけれど、それなりに聞き分けのいい子たちが束になったくらいでは、ダージリン様には敵わない。


「試合に勝ちたいけれど、勝ち進めば、アッサム様の偵察日数がドンドン増えるから、困ったものだわ」
「まぁまぁ、シナモン。あなたが命綱なんだから」

 ダージリン様の命綱はアッサム様。



 だけど、1年のうち何日間かは、シナモンがこの聖グロ学生艦の運命を握ることがある。
 そのことを知っているのは、3年生たちだけだ。

 
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Date:2016/11/30
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