【緋彩の瞳】 恋文 ②

緋彩の瞳

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ダージリン×アッサム〔ガルパン〕

恋文 ②

「あら、アッサム」


 柔らかな秋の午後。夏の疲れを感じる木陰で整備科と情報処理部の子たちと、自動販売機のコーヒーを飲みながらおしゃべりしていると、ダージリンがゾロゾロと1年生たちを連れてやってきた。連れてというか、勝手について回っている様子。


「ダージリン。どうしましたか?」
「偶然通りかかっただけよ。そうだわ、アッサム。外に散歩にでもと思ったら、何だかたくさんついてきてしまったのだけれど、あなたも一緒に散歩しないかしら?」
「……それは、面倒を見て欲しいという意味ですか?」
「あら、そんな意図はありませんわ。楽しくお散歩しましょうと言う意味よ」

 ルクリリたち1年生をゾロゾロ10人程。歩いているだけで、勝手に磁石のように吸い付いてくるのだろう。ペコもローズヒップも、アッサムを見つけて、キラキラと獲物捕獲と言わんばかりに目を輝かせている。

「グリーンたちとコーヒーを飲んでいたところですが」
「あら、なおさらお口直しが必要ね。お散歩ついでに、美味しい紅茶を飲みに行くつもりだったのよ」
「………この人数で?」
「1人で散歩をするつもりではいたのよ?」

 そう言う割には、校門の外に出るには真逆のこの場所に、足を運んだのはなぜだろうか。くっついてきた人数が5人を超えた時点で、きっと道を変えてアッサムを探しに来たのだろう。面倒を半分引き取って欲しい、と。


「アッサム様もご一緒にお散歩ですわ~~!」
「はいはい、ローズヒップ。今、整備科とあなたのことを話していたところで……」
 クルセイダーに掛かる整備費用と、それをどうやって誤魔化すかを議題に、苦いコーヒーを味わっていたのだ。どうせなら、クルセイダー関係の1年生をここで離脱させるのも手かしら、と思ったが、ローズヒップは耳を塞ぐ振りをしているし、ルクリリは“まぁまぁ”と言いながら、アッサムの腕を引っ張って立たせようとする。

「こら、ちょっと」
「アッサム様もお散歩しましょうよ。せっかくダージリン様がここまで来たんですから」
「散歩に行けば、かえって疲れるわ」
「またまた~、可愛い後輩がこんなにも沢山いるんですよ~?ストレスも吹き飛びますって」
 髪に顔を埋めながら、ルクリリが小学生みたいな笑顔を向けてきた。よほど、午後からの訓練がなくなったことが嬉しいのだろう。昨日、ティーカップを割って始末書を書いた身分であるということも、なかったことにしているようだ。

「……まったく。公園でブランコにでも乗りたいの?」
「そんな、子供じゃあるまいし」
「子供の方がよっぽど可愛らしいわ」
「アッサム様、とは言いながらも私たちのこと可愛いって思ってくれているでしょう?」
「どうかしら?」

 ダージリンは、背中に抱き付いているローズヒップを甘やかすように、顎を指先でくすぐっている。喜ぶ犬を宥めている飼い主のようだ。

 とても機嫌がいいらしい。
 まだ、修繕費のリストを見ていないから、笑っていられるのだろう。


「いいわ、ルクリリ。付き合ってあげる」
「さすがです!」

 1秒でもその笑みの傍にいられるのなら、面倒事も喜んで引き受けてしまう。そんな自分がおかしい。飲み干せなかったコーヒーをそのまま置いて、片目をつぶってグリーンに詫びた。偽の修繕報告書については彼女に任せておくしかない。

「可愛い後輩のお願いの方が、アッサムには効くみたいね」
「ダージリンはわかっていて、引き連れてきたのでしょう?」
「あら、そんなことありませんわ」

 背中にしがみ付いて離れないローズヒップと言う大型犬。
 アッサムの背中にも離れないルクリリがいる。
 従順な子犬はじっと、見上げてくるだけ。

「………ただの散歩で済めばいいですけれど」

 どうせなら、1人の時に誘ってきてくだされば。
 飲み込んだ言葉が胸につかえて、痛みを覚えた。


  DEAR 大好きなあなた

 今日もあなたの笑顔を見られることができました。夏の香りが薄れようとする午後の日差しの中、のんびりと歩幅を合わせて歩く。その道が永遠に続けばいいと、そう思ってしまいます。それでも繰り返し動く歩みは、誰にも止められるはずもなく、出会いからもう2年以上が過ぎて行きましたね。
 過ぎ去っては二度と戻らない日々の中、あなたと2人だけで過ごす時間は、どれくらいあったでしょう。思い返してみても、あるようで、ほとんどなかったかもしれません。
 どれほどに傍にいても、あなたは少し遠い。いつも遠く何かを眺めているように見えてしまいます。でもそれは、そう思うことで、この胸の痛みを誤魔化したいだけなのでしょう。誤魔化しがきく程度ならば、まだ、ずっと想い続けても許されるのでしょうか。人は、恋と言う病で死なないという当たり前を、私が覆すわけにもいかないのでしょう。

 死ぬことができずとも、恋が消え、何事もなく、もっと、あなたの傍にいられるのなら。

 いえ、やはりそれでは、傍にいる意味すらも消えてしまいますね。この学校にいる意味すらも失われてしまうでしょう。
 
 毎日、あなたの顔を見るたびに、ただただ、好きと言う言葉を飲み込むのです。

 
 過剰摂取をして、毒にならなければよいのですが。



 


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Date:2016/12/18
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