【緋彩の瞳】 あのころ

緋彩の瞳

美奈子×レイ小説

あのころ


何も見えない。見えなくていいと思った。
この世界に信じるものなんて何もない。
目を閉じて、暗闇の中を生きることも、
瞳に焼きつく痛みすべてを抱きしめて生きることも。

そんなに変わりはないと思った。


「この世界は美しいわ」
「…なぜ?」
この王国は、浅黒い罪に覆われて、もう光を放つことも、光を受け入れることも出来ない廃墟になるというのに。
「何度でも生まれ変わる意思を持つ戦士がいる。光を放つ銀水晶が人々を幸せにしてくれる。美しい世界よ」
何を言うの。
目の前に広がる廃墟の世界。
「もう、すべて消えてなくなってしまうわ」
「消えないわ。星は使命を忘れないもの。あなたも私も、プリンセスも。何度でも生を繰り返すことができるわ」

その美しい日々が私には見える。
ヴィーナスは歌った。

私には見えないものが彼女には見えていた。
私が見たくない未来を彼女は信じていた。


そのとき
闇も罪も、痛みも繰り返すものだと反発できずにただ。

ただ、消え行く星の最後をじっと待つしかなかった。
同じ美しいと呼ばれる世界を見つめながら。
その手を握ることさえできないで。

信じるものなんてないのに。
彼女の言葉だけが魂にこびりついて離れず


また、私は彼女と生きる道を選ぶのだろう。

赤い雫が太陽から零れ落ちた

黒い怒りが銀河から突き刺してくる。

優しい光が
繰り返す私の生に差し込む日々を信じて。

そう

それだけを信じてる。






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Date:2010/11/08
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