【緋彩の瞳】 胸に刻んで ③

緋彩の瞳

みちる×レイ小説

胸に刻んで ③


「誕生日にレイが欲しいものはいったい何?」
「何でしょう?何だと思う?」
まだ少しだけ寒さが残る季節。彼女はレイを抱いたままベッドに背を預けた。胸の上のレイは、その音楽家の刻む鼓動に耳を当て、そっと掌を置く。
「コンサート会場で、私があなただけのために1曲演奏するとか」
「私以外の人間が聞いているなんて許さない」
「あら・・・。それは残念」
「それが今年のプレゼントだったの?」
彼女の胸に響く声は、本当に残念そうに聞こえてくる。レイは笑った。珍しい。彼女がプレゼントをくれる前に確認するなんて。
「明日の12時まではあなたの誕生日だから、もう1度考え直すわ」
「考え直さないでいいわ。嬉しい」
「本当?」
「本当よ。世界のヴァイオリニストが私だけを見ているんだもの」
レイは彼女の身体に自分の身体を重ね、息を吐いた。全てを委ねる快楽。彼女の体温を身体全てで感じる幸せ。独りじゃない安堵。何もかも、もう全て欲しいものは手に入れてきた。こうしていれば、何時だって手に入る。そして、もうすぐ支配できる。
「・・・ねぇ」
「なぁに、レイ?」
「・・・・ねぇ」
レイは彼女を呼んで、欲しいとねだった。肌蹴たバスローブのYのラインに顔を埋め、ほのかにボディソープの香りがする胸の温もりを頬で感じる。
「ねぇ」
彼女を呼ぶ。
また不満そうな瞳。
けれどいつもみたいに、きつく抱きしめて身体の位置を変えた。

儀式の始まりは、キスへのプレリュード。

髪に舞い降り
耳たぶをかすめ
頬をなぞり
唇を刺激して
口腔を覆い
 心に染み渡る

「ねぇ・・・」
「何?」
彼女の唇が舞い降りるたび、レイは身体に電気が走ったように、小さく震えた。身体も魂も彼女を感じている。
「私に名前を呼んで欲しい?」
バスローブのYのラインに手を差し入れ、彼女はレイの首筋に唇を寄せ、ゆっくりと花びらを刻んだ。
「・・・当たり前なこと言うのね。何が目的?」
ゆるく結んだ紐を解く指の動きを感じ、レイも彼女のバスローブに手を伸ばす。
「目的は支配・・・」
「支配?」
そう。

支配。

レイは彼女の胸をあらわにして、両腕を伸ばした。掌に包み込まれた乳房は少し冷たい。
「私以外の誰にも、あなたの名前を呼んで欲しくない」
「それ、名前を呼ばないのとどういう関係?」
彼女の胸を、レイはゆっくり揉んだ。彼女は少しはっと息を飲み込み、それでもレイの言葉を待っている。
「呼んで欲しいのなら、私以外にあなたの名前を呼ばせたりしない。交換条件」
「あなたに名前を呼んでもらう代わりに、あなた意外の誰に名前を呼ばれても、振り返ることも出来ないのね?」
「そうよ。私、誕生日にはそれが欲しい」
「私を支配したい?」
「したいわ」
彼女はレイの両手を自分の背中に回し、レイの胸に唇を寄せた。
「いいわ、レイに支配されても。その代わり、必ず私の名前を呼んで」
「いいわよ」

みちる

胸に花びらが舞った
暗闇に舞う桜の花びらより美しく
けれど、土に返ることのない花びらが舞う

誕生日に欲しいのはみちるだけ
みちるじゃなきゃ嫌


「嫉妬心、強いのね」
「そうよ」

身体中、花びらが舞う
支配するものへの服従の印

「みちる」

誕生日に欲しいのはあなただけ
いつだって
散ることのない花をくれるのはあなただけ

いつだって
散ることのない花を捧げたいのはあなただけ

今宵この身に舞う花は
今も舞う桜の花びらの数より多いかもしれない



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Date:2014/02/11
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